更新日:2025/08/31
2025年7月26日14時より、大宮ソニックシティビルにて「IBDを知って・学んで・思いをシェアするセミナー」を開催しました。
暑い中、19名の参加者(当事者・患者家族)、6名のスタッフ&関係者の皆さまにご参加いただきました。
【講演】
講師には、埼玉県済生会加須病院院長の板橋道朗先生をお招きし、「IBDの最新治療~医師の立場から伝えたいこと~」と題しお話しいただきました。板橋先生は消化器系の外科がご専門ということで、当日は外科的治療法やその写真をふんだんに盛り込んでいただきました。私自身手術経験がないので、今後もしあった時をイメージしながら伺っていました。
以下、個人的に関心があった話。
・IBDに関しては、新薬の開発が進み選択肢が増えたが、どのような患者にどのような順番で使用するのが良いかはっきりしていない(指南書があるわけではない)。
→副作用の出方によって選択することが多いが、同じ患者でもかかる先生によって選択される薬が異なることがある。ある程度のフローチャート(作用機序別等)はある。
・日本ではUC>CDだが、欧米ではCD>UCの患者数。
・UCについて、手術になる人数(総数)は横ばいだが、がん由来で手術となる人数は増えている。
→炎症が落ち着いているときの内視鏡画像ではがんの部位が良く見えるが、炎症があるときのがんの部位は本当にわかりづらい。だからこそ定期的な内視鏡検査により早期発見することが重要。
・腹腔鏡手術の手術箇所は5mm程度(小さい!)
・Treat to Target(目標に向けた治療)の考え方
→治療の目標について主治医と患者がシェアをすること。主治医任せな治療にせず、患者も能動的に動くことが必要。
・病気とうまく付き合っていくために必要なこと
→①自分の病気について過去・今・未来のストーリーを知ること
②必要な治療はアドヒアランス良く(治療に積極的に)
(飲み薬をしっかり飲むとかもそう。飲めていないならそれをしっかり伝えることも◎)
③定期検査は計画的に
④コントロール不良、中等症以上の状態なら専門医へ
↑板橋先生
【質問コーナー】
講演後には、事前に募っていた質問を板橋先生にお答えいただきました。
Q.主治医が診察時に当事者から一番得たい情報、伝えるべき話は何ですか?
A.変わったことが無かったか。薬は飲めているか(飲めていないならその情報も!)。治療方法を検討する必要があるかもしれないので、ライフイベント等の共有もしてもらいたい。
Q.近年診察してくれる病院が増えてきて嬉しい半面、良い病院と出会うのは難しいこともあります。選ぶ基準は人それぞれだと思いますが、病院選びのポイント、通院が苦痛にならない工夫はありますか?
A.一つ言えるのは、コミュニケーションがしっかりとれる医者を選ぶべき。
Q.大腸内視鏡検査が苦手で、できれば受けたくありません。負担が少ない検査方法があれば教えてほしいです。
A.痛みが強いなら麻酔を使う方法もある。大腸内視鏡検査の代わりにMRIやCTをやる場合もあるが、「この人あやしいな…」という人に対して主治医は検査を譲らないと思う。
【交流会】
CDグループ、UCは男女グループに分かれて、講演の感想を共有し、フリートークを行いました。
以下、各グループで話題に上がった内容などをまとめました。
(CDグループ)
・6名+スタッフ1名で、半数が患者会自体初めての参加。
・仕事と病気の兼ね合い。ほぼリモートワークで配慮してもらう必要性があまりない人、病名は言わずに腸が弱いとだけ伝えている人、就職活動からすべてを話しそれでも受け入れてくれる姿勢のところへ就職した人。配慮してほしい気持が患者側にあっても、配慮の仕方がわからないとか、どう接したらよいか悩んでいる職場もあるかもしれないよね、という話。
・再燃の前兆を把握している?という話。寝不足、ストレス、メンタルダメージ、体調が悪くなるとわかっていても食べてしまうラーメン…(あるある)。
(UC男性グループ)
・6名。
・病歴数十年の方。スマホもなくパソコンも普及し始めの頃で情報がない時代だった。今はSNS等の情報は手に入りやすいがちょっと不安もある。
・がんについて。病歴が長く、それなりの年齢になってくると考えてしまう。できるだけいい状態を保ちたいし検査も大事にしたい。
・医療費の負担感もある。
・発症から診断まで、どんな経過だったかという話。下血がなかなか止まらなかった/総合病院に行ったけど、最初はちゃんと診断されなかった/昔ほど診断が遅いということは少ないかも。
・皆さんの話を参考にしながら、うまく付き合っていきたい。
(UC女性グループ)
・7名。
・UCステロイド新薬コレチメントに関する話。
・思春期の子(当事者)の家族の方の参加。外食の心配は尽きない。トリガーフードを探していき、よく噛んで、食べ過ぎないことがよいのではないか。もし食べ過ぎても前後で調整でも◎
・同じIBD患者さんと会ってみたかった。人と比べることがあっても、自分が1番大変なことは間違いない。十人十色、交流会で様々な話をきくことも手。
・カミングアウトについて。クラス全員に伝えたが今一つ理解されなかった/上司などに相談したら心配されすぎて思うような仕事をさせて貰えない。→疾患はプライベートのことなので伝える人を選んでもOK。「お腹は弱い」などの表現で工夫するのも。
・悪化時、胃腸に負担をかけないように、治療と休養することもとても大切なこと。
↑交流会の様子(ぼかしを入れています)
アンケート結果は、回答いただいた全ての方から「とても良かった」「良かった」との回答をいただきました。
また、あたたかいコメントや前向きなご意見をいただいた皆様、ありがとうございました。
企画から当日運営までご協力いただいた関係団体の皆さま、そして快く講師をお引き受けくださった板橋先生にも感謝申し上げます。
さて、大きいイベントがひと段落し、今すこし抜け殻のようになってしまっていますが、次にやることを少しずつ決めていかなきゃと、報告を書くのに1か月かかってしまった代表は思うのでした…。また、この間、患者会への入会のお問い合わせ、実際に入会していただいた方が数名いらっしゃいました。ありがとうございます、一緒に患者会活動を盛り上げていきましょう☺!!!(奥野)